バイス(Vice)を観てきました。
J’ai regardé “vice” et j’ai de nouveau été ému par la transformation du Christian Bale.
I watched “vice” and was again moved by the transformation of Christian Bale.
二つのエンドロール
この作品は、アメリカ第43代大統領ジョージ・W・ブッシュの下で副大統領を務めたディック・チェイニー(Dick Cheney)の物語です。
ディック・チェイニーは陰の権力者として、2001年に起きた9.11のアメリカ同時多発テロをきっかけに、ブッシュ政権をイラク戦争に導いた人物です。
ディックは今も存命であり、このようにそんなに昔の話ではない点と、現役である悪の人物をモチーフとする点で「バイス」はなかなかセンセーショナルな映画といってもよいでしょう。
この映画、撮り方というか構成の仕方にクセがあり、政治ネタを中心としたわりとユーモアのないシリアスな進み方なのですが、それがつまらないと感じる人は寝てしまうようです。イビキが少し聞こえてきました。
でも何気にじわじわと来るところもありました。
途中、ここで政界をやめて犬のブリーダーになって田舎で悠々自適で暮らしました(としたら世界は平和だった)みたいな演出があり、そこで一旦、エンドロールが流れかけます。
引っかけのように、映画の中に本当のエンドロール以外に二つエンドロールが流れるのです。
二つ目のエンドロールは、わりと終わりの方なので、本当のエンドかな?と思ったのですが違ったようです。
アメリカ
カラフルな釣り針(バイス)の映像と共に流れる曲はなんと『ウエストサイドストーリー』のアメリカ(America)です。
いきなりそれまでの流れと関係ないラテン調のリズムが流れてきたので、なんでここでこんな曲?と感じたのですが、あぁ~なるほど、アメリカですね、アメリカ。歌詞の和訳を見ればわかります。なぜこの曲が選ばれたのか。
今のところバイスのサントラが出ているという情報はないようです。
・・・と思ったのですが、デジタルミュージックで購入できるようですね。
CDは出てないっぽい。
他の追随を許さない役作り
それはさておき、やっぱりこの映画の見所はなんといっても筋金入りの演技派であり憑依型俳優とも呼ばれるクリスチャン・ベール(Christian Bale)の圧倒的な役作りでしょう。
20㎏の増量に加え、髪も眉毛も剃って脱色したようです。
ロバート・デ・ニーロ(Robert De Niro)並みの役作りって海外ではよくあるみたいですけどね。
日本でも鈴木亮平が増量したとかよく聞きましたが基本的に日本の映画などは製作期間的に役作りをする時間がないそうです。
そんなこんなでクリスチャン・ベールってとにかくスゴい俳優なんですけど、私が最初にベールを知ったのは『ベルベット・ゴールドマイン』でしたね。
グラムロックに耽溺する少年から新聞記者になる変貌ぶりを地味ながらも華麗に演じていたと思います。美形ですし。(他のキャストがかなりの美形揃いだったのでそんなに目立たなかった感じはしますけど)
サントラも秀逸なアメリカン・サイコ
そして、ベールの出ている映画で個人的に強烈に印象に残ったものがもうひとつあります。
2000年のアメリカン・サイコ(American Psycho)です。
これはリアルタイムでは観ていないのですが、雑誌で紹介されているのを見て面白そう(怖そう)だなと思いDVDで観ました。
ニューヨークで働くエリート副社長(ベール)が、実は二面性を持っていて、夜になると殺人鬼と化すという話です。
なんかタイトルからして鮮烈というか、アメリカンとかついてるからカッコいいように見えてサイコ、っていう背筋が凍るような映画です。
演出も演技も全体にあまりにも80年代風味を出すのが上手いせいか80年代に作られた映画かと思ったら2000年の映画なんですよね。
そもそも80年代にクリスチャン・ベールはまだ10代でしょう。
ベールが演じる役はストイックながらかなり自己中心的な性格で、ハードなトレーニングを日課にし、複数の女性達と派手に夜を共にしたり、好きな音楽について一方的に語り続けたりする上に異常な潔癖症という強烈なサイコです。
ヒューイ・ルイス(Huey Lewis)の熱狂的ファンという設定で、ヒューイのCDを得意気に持っているシーンがあります。
ヒューイ・ルイス自身がこのシーンをパロディとして演じている動画がありました。
他にも、ホイットニー・ヒューストン(Whitney Houston)やフィル・コリンズ(Phil Collins)について蘊蓄を語ったりします。
よくこの映画が、「こんな男とは絶対に付き合ってはいけない!」みたいな記事のネタになっているのを見かけます。
とはいえ!
サントラは良いんですよ!なかなか。
まずアルバム一曲目の激しい曲からして内容をよく表現しています。
ドープ(Dope)の ユー・スピン・ミー・ラウンド〈ライク・ア・レコード〉(You Spin Me ‘Round (Like A Record)です。
THE・アメリカン、サ!イ!コ!って感じの曲ですね。😨
他に、デビッド・ボウイ(David Bowie)の サムシング・イン・ジ・エアー(Something in the Air)が印象的に使われていたりします。(ほぼこの映画のテーマ曲みたいなものしょう)
全体的に80年代の音楽でまとまっている感じで、ザ・キュアー(The Cure)とかニュー・オーダー (New Order) の曲なんかが使われてます。
サントラには、クリスチャン・ベールによるモノローグも入っています。
バットマンだけじゃないよ
というわけでクリスチャン・ベールと音楽についての私見はこんな感じでした。
ベールは英国出身の俳優ですけど、アメリカで活躍しているのでハリウッドのアクション映画によく出ている印象です。
「ハウルの動く城」のハウルの英語版吹き替えも担当しているそうです。
見た目は典型的といってもいい端正な長身のイケメンですが、(でもちょっと中顔面長めかも)このように徹底的な役作りをしてアクの強い役や個性的な役をさらりとこなしているところに只者ではない柔軟性を感じます。お茶目な愛嬌すら感じますよ。
バットマンはちょっと彼には普通すぎますね。特徴なくて物足りないです。
まだまだベールには今後も度肝を抜くような役作りを期待してしまいます❕🙆
バイス VICE
2018年 アメリカ 132分
監督 アダム・マッケイ
キャスト
クリスチャン・ベール(ディック・ケイニー)、エイミー・アダムス(リン・チェイニー)、スティーヴ・カレル(ドナルド・ラムズフェルド)、サム・ロックウェル(ジョージ・W・ブッシュ)、タイラー・ペリー(コリン・パウウェル)
内容(あらすじ)
1960年代、下院議員のドナルド・ラムズフェルドの元で政治を学んだ電気工ディック・チェイニーは権力のとりこになってしまう。
やがて頭角を現し大統領首席補佐官、国防長官を経たチェイニーはジョージ・W・ブッシュ政権下で副大統領に就任する。
アメリカン・サイコ AMERICAN PSYCHO
2000年 アメリカ 102分
監督 メアリー・ハロン
キャスト
クリスチャン・ベール(パトリック・ベイトマン)、ウィレム・デフォー(ドナルド・キンボール)、ジャレッド・レト(ポール・アレン)
内容(あらすじ)
1980年代、容姿端麗で27歳のエリート副社長パトリック・ベイトマンはニューヨークで高級マンションに住み、誰もが羨む生活を送っているように見える。
しかし彼には裏の顔があり、衝動的な欲望に突き動かされ夜な夜なホームレスや娼婦を殺害するという異常な性癖を持っていた。