
渋谷アップリンクで、ビル・エヴァンス タイムリメンバード(BILL EVANS TIME REMEMBERED )を観てきました。
J’ai regardé ce film sur Bill Evans et je me suis intéressé à l’art du jazz.
I watched this film about Bill Evans and was interested in the artistry of jazz.
きっかけは綾戸智恵
私がビル・エヴァンスを知ったのは、もうかなり前。
深夜、ふいに目が覚めた時、つけっぱなしのラジオから何やら抽象画のような、音が散乱した感じの不思議なメロディーが流れていたのです。
速攻で起きて音量を大きくし、曲名を確認しようとしました。
どうやらその番組は、ジャズシンガーの綾戸智恵さんの番組のようでした。
「ディル・エバンス、ワルツフォーレビーでした。」
と聞こえたので紙にそのまんまメモしたのです。
調べてみると、その「ワルツ・フォー・デビイ」(Waltz for Debby)がとても有名な曲であり、ビル・エヴァンスもジャズ界では神がかった存在であることを知りました。
当時私は、大人っぽいジャズやムードのあるラウンジ系に興味を持ち始めていたので、こういったアーティスティックな音がとてもスタイリッシュでモダンに感じました。
それに、音に雑多な生活感がなく都会的なところがとても気に入りました。
白い野良猫は帰れ
今回の映画は、ビル・エヴァンスの生い立ちから成功、薬物依存になり、浮気により内縁の奥さんが自殺、兄であるハリー・エヴァンスも自殺、離婚・再婚など、波瀾万丈のバイオグラフィーを追っており、その上で、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)らとの共作や、娘のデビイへの最大名曲「ワルツ・フォー・デビイ」について語られていきます。
ビル・エヴァンスはやはり幼少期から兄弟揃ってピアノばかり弾いていたそうで、最初はクラシックの曲を弾いており、音楽学校でも暇さえあれば練習していたそうです。
どんな曲を弾かせてもビルにしか出来ない表現をした、と語られていました。
あの、うなだれたように下を向いてタバコをくわえて演奏している姿が特徴的ですね。
容姿がカッコいいのも目を惹きます。
ジャズピアニストの中で白人は珍しく、マイルス・デイヴィスの支持で黒人のジャズバーに入った時は「白い野良猫は帰れ」なんて言われたそうですw
映画の中ではビル・エヴァンスだけでなく、他のジャズピアニスト達も含めた軽妙な演奏が次から次へと映し出されます。
やっぱり弾いているシーンを見ると並みの技ではないことがわかりました。
手の動きを見ただけで、音を一聴きしただけで違う、みたいな感じなんです。
マイルス・デイヴィスとのコラボ
私はぶっちゃけ「ワルツ・フォー・デビイ」くらいしか知らなかったのですが、Everybody Digs(エヴリバディ・ディグズ・ビル・エヴァンス)がこの世で最も美しい曲と言われていることや、マイルス・デイヴィスとの共作(どっちがメイン作曲家かは未だに意見が分かれているようですが)Blue in Green(ブルー・イン・グリーン)という曲があることも知りました。
ジャズ=抽象画
青も緑も個人的に好きな色なので、「Blue in Green」はとっても素敵な曲名だなぁ~と思います。
色合いが浮かんできちゃいますね。
ジャズって他の音楽に比べて抽象的で、抽象画みたいに思えるんです。
「Blue in Green」も、とくにタイトルの意味はないようで、グリーンの中にブルーを落としている絵の具のようなイメージも感じるのですが、あとは個々人が想像するというところでしょう。
あと、映画の中に綺麗なピンクの夕焼けにカモメの飛んでるシーンが出てきました。
私はジャズっていうとなぜかカモメを思い浮かべてしまいます。
チックコリアの『リターン・トゥ・フォーエヴァー』(Return to Forever)というジャズアルバムがありますが、その有名なジャケがカモメだからでしょうかねぇ?(チックコリアのカモメで通じる)
いずれにしても、ジャズとカモメ・犬・猫・ペンギンetc.・・・などはなんとなく似合う感じがします。
その他にも、ソニー・クラーク(Sonny Clark)の『クール・ストラッティン』(Cool Struttin’)のジャケなどがスクリーンに映し出されました。
これのジャケも女性のスリットの入ったスカートの写真で有名です。
ジャケに関しては、ロックやポップスなどよりも断然、ジャズやボサノバのCDの方が美しくインパクトのあるものが多いです。
ポップスなんかだとどうしてもアーティスト本人がジャケに出ちゃうということもありますが。
美と真実だけを追求したビル・エヴァンス
ビルがトニー・ベネットに送った名言、
「美と真実だけを追求し、他は忘れろ」
これ以上の言葉はないと思います。
ビル・エヴァンスは薬物乱用の末、51歳という若さで世を去ってしまいました。
後にも先にもこのようなジャズピアニストが現れるとは思えません。
今回の映画のラストに「この映画で扱ったビル・エヴァンスの曲はほんの一部です。まだまだ沢山の曲があるのでレコードを手に入れて聴いて下さい」というような字幕が出ました。
私も、まだ聴いたことのないビル・エヴァンスのアルバムがいくつかあるので、さっそく聴いてみたいと思いました。
エドワード・ホッパーみたいなニューヨークの画集か写真集でも見ながら聴くのがピッタリでしょうね。🌉🌆🌃
ビル・エヴァンス タイム・リメンバード
TIME REMEMBERED: LIFE & MUSIC OF BILL EVANS/BILL EVANS/TIME REMEMBERED
2015年 アメリカ 84分
監督 ブルース・スピーゲル
内容(あらすじ)
1958年、マイルス・デイビスのバンドのメンバーとして迎えられ「カインド・オブ・ブルー」の制作に加わったビル・エヴァンスは、その後、ベーシストとドラムと共にトリオを結成する。
「ワルツ・フォー・デビイ」などの名曲を生み出したが、晩年は薬物依存に苦しみ、精神・肉体ともに追い詰められていったジャズピアニスト、ビル・エヴァンスの生誕90周年を記念したドキュメンタリー。