ファッションデザイナーのアレキサンダー・マックイーンのバイオグラフィー映画である
マックイーン モードの反逆児(McQueen)を観てきました。
J’ai regardé le film“McQueen” et j’ai été attiré par le sens parfait d’Alexander McQueen.
I watched the film “McQueen” and was attracted to the perfect sense of Alexander McQueen.
元ジバンシーのデザイナー
アレキサンダー・マックイーンは90年代に特に活躍したデザイナーで、一時期ジバンシー(GIVENCHY)のデザイナーも務めていました。
この映画を観ていて、自分も過去にTVで観たことのあるファッションショーの映像が出てきました。
1999年の春夏コレクションの映像なのですが、白いドレスを着たモデルのシャローム・ハーロウが、ショーのラストで両サイドからロボットにスプレーでドレスを黄緑と黒で着色される演出なのです。
当時はわからなかったのですが、この映画では間近で詳細を映していて、シャロームの顔や首~肩の辺りまで黒いペイントが飛び散っており、登場してポーズを決める時点からものすごく大変そうな顔をしていて、終わった瞬間、マックイーンもシャロームもその他製作陣一同が一大イベントの大役を成し遂げたという気迫が強烈に感じられました。
愛読書
そして映画を観ていて、ちょっと驚いたことがあります。
アレキサンダー・マックイーン本人はなんと、パトリック・ジュースキント作『香水』を愛読していたそうなんです。
いきなりあの小説の表紙が映し出されたのでビビりました。
そして「香水」の、女性が次々と殺されていくというストーリーにインスパイアされていたということです。
暴力とトラウマがテーマ
マックイーンの幼少期の体験により、女性に対する暴力がファッションのテーマの一つとなっており、それに対して女性団体などからの抗議も激しかったということです。
マックイーンは暴力について「女性が絶対に男に渡したくない物を強奪している」ようなものと語っていました。
自らも幼少期に虐待を見たり受けたりしていたそうです。
10代の時から学校のどの授業の時でも服の絵を描いていたそうです。
そしてシニード・オコナーを好んでよく聴いていたそうですね。
完璧主義
数々のデザイナーやアーティストを輩出したロンドン芸術大学のカレッジのひとつであるセントラル・セントマーチンズで学んでいたということですが、マックイーンのデザインは、服だけでなくショーのセットや映像を観ても非常に鮮烈で垢抜けている感じがします。
と同時にどこかやはり暴力的で怖い感じもします。
色も形も細かい部分に至るまでモデルの体や雰囲気にぴったり合った服という印象です。
若い頃から姉の体にものすごくフィットしたスカートを製作するなどしていたそうです。
あと色彩感覚がなんというか普通では出せない感じなんですよね。
見たこともないような色彩と素材感で、一度見たら忘れられないテイストです。
デザイナーになったばかりの頃から製作には厳しく、デザインも何度もやり直させ、生地も数多くの店の物を把握しているなど完璧主義だったようです。
2000年に行われたショー「Voss」のラストで、太った女性と蛾がガラスケースから現れる演出も、マックイーン本人が語る通りオシャレではない物の象徴で、普通ならグロテスクな印象となるのでしょうが、とってもスタイリッシュで、とにかく何から何までが美しく、鮮やかで、今の時代から観てもセンセーショナルで、本物のファッションデザイナーであり完璧な職人だと思いました。
ケイト・モスのホログラムなんて、本物のケイトかと思ってました。
感性そのもの全てが人間に姿を変えているようなデザイナーですね。
マックイーンだけじゃないですけどファッションショーって単に派手で奇抜なことをしているだけではなく哲学がありますね。
ミュージカルとか舞台作品に通じるものがあると思いました。
鬼気迫るデザインと人生
音楽は、マイケル・ナイマン(Michael Nyman) によるオーケストラの曲で、これがまたマックイーンの奇才なエピソードを際立たせていました。
蝶(蛾?)や花をあしらった黄金の骸骨が不気味ながらも非常にスタイリッシュで、いつまでも見ていたい・・・マックイーンの鬼気迫るような人生と才能を感じさせます。
デザイナーやアーティストなど注目度も収入も華々しい業界にいる人で私生活も仕事と同じくらい晴れやかな人って見たことがない気がします。
ビジネスの世界ならいるような気がするんですけど。
ケイト・スペード(kate spade)というデザイナーも昨年自死してしまいました。
絶対に死にたくない!とか自殺なんてあり得ない!と思っているうちは人生無傷で幸せだけど凡人のままなのかもしれませんね。(笑)
アレキサンダー・マックイーン。
彼のような天才になるのは難しいですが、あの完璧主義なセンスと、徹底した仕事ぶりは意識して目指してみたいと思いました。
マックイーン:モードの反逆児 MCQUEEN
2018年 イギリス 111分
監督 イアン・ボノート ピーター・エテッドギー
内容(あらすじ)
モードの反逆児と呼ばれ数々の賞を受賞したファッションデザイナーでありながら2010年に自ら命を絶ってしまったアレキサンダー・マックイーンの人生と仕事に迫るドキュメンタリー。