イタリア元首相である シルヴィオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi) を描いた風刺コメディ
ローロ イタリアの欲望 (Loro)を観ました。
“Rolo” est un film dépeignant l’ancien Premier ministre italien Berlusconi avec un magnifique EDM.
“Rolo” is a film depicting former Italian Prime Minister Berlusconi with a magnificent EDM.
野心家ベルルスコーニ
ベルルスコーニは元実業家で、9年間にわたりイタリアの首相にあたる評議会議長(第51・57・58・60代)を務めました。
この映画は左翼政権を倒すため燃え尽きることのない野心を燃やすベルルスコーニが政権に返り咲く2006年からの10年間にスポットを当てた物語です。
二部構成の演出になっており、前半はベルルスコーニになんとか接近を試みる青年実業家セルジョ・モッラのややコミカルな暗躍が中心となって描かれています。
セルジョ・モッラを演じるのは『ダリダ・あまい囁き』(Dalida)でダリダの兄を演じたイタリアの俳優 リッカルド・スカマルチョ(Riccardo Scamarcio)ですね。
監督 パオロ・ソレンティーノ(Paolo Sorrentino) はフェリーニの再来と呼ばれるほど映像美に定評があるそうです。
映画館、けっこうガラガラだったんですけど…知名度ないんですかね。
前半は能天気なほどにポップで派手、後半はベルルスコーニの苦悩を描きシリアスで重厚といった二面性のある演出の映画で、その個性的な造りのため途中にちょっと断絶感があるのですが、トータル的に見るとベルルスコーニを中心とした空虚ながらも華やかな狂乱の時代感が見えてくると思います。
ゴージャスかついやらしくない
特に前半はスタイル抜群のイタリアン美女がこれでもかとわんさか出てきてばんばん脱いだり全裸で股開いて毛を剃ったり、胸丸出しでダンスしたりと開けっぴろげなセクシーさが炸裂します。
しかし裸になろうが何しようがカラッとしていて全然いやらしい感じがしません。
こういうところは底抜けに明るい?イタリアならではの持ち味でしょうかね。
プールサイドで繰り広げられるパーティーで美男美女がダンスに興じるシーンなどはカッコいいハウスの音楽が流れ、そのセクシーでゴージャスな美しさと非日常感にうっとり惹きこまれ、ずーっと観ていたくなります。
出てくる豪邸のセットも、インテリア、エクステリア共にもの凄くリッチでセンスも良く、海外のイタリアンモダンのインテリア雑誌を見ている気分になります。
大きな貝殻が並べてあったり壁に付いていたり、広大な庭にはトランポリンがあったりお土産用のネックレスがずらーっと用意されていたりとユニークです。
スタイリッシュな音楽
この映画、イタリア的荒削りな脚本と、特に前半はひたすらエロティックな視覚演出が特徴なのですがサントラにはかなり惹かれるものがありました。
まるでスタイリッシュなミュージックビデオを観ているような感覚になります。
それは予告篇からして目を惹いていました。
だから観に行ったんですけどね。
予告篇で流れるのは60年代アメリカのガレージロックバンドを代表する ストゥージズ(The Stooges)の“Down On The Street” です。
ボーカルは言わずと知れた イギー・ポップ(Iggy Pop) ですね。
前半は皆がベルルスコーニの登場をひたすら待っているという設定なのですが現れず、後半はベルルスコーニがやっと登場し、その家族や周辺を中心に描かれます。
前半の派手さからすると後半が同じ映画とは思えないほどです。
だんだんシリアスになっていって、なんとエンディング曲が音楽ではなく波の音のみというシンプルさです。
ベルルスコーニは2009年のラクイラ大地震の援助をしたあと、未成年買春疑惑などから妻ヴェロニカからの信用も失い、何もかも上手くいかないセルジョと共にその栄華の幕を閉じていきます。
存命中の人物ですが伝記としては今までに見たことのない面白い構成の映画でした。
基本的にはダンス系の曲目なのですが、たまにベルルスコーニなどがギター演奏をバックに カンツォーネ を歌うところがあります。
イタリアらしいですね。
セクシーな女性がくねくねたくさん出てくる印象が強いのでそういうのが苦手な人はダメかもしれませんが、ヨーロッパ的なEDM、ハウス、テクノが好きな人やイタリアに興味のある人は楽しめる映画だと思います。🐚



ローロ 欲望のイタリア LORO/THEM
2018年 イタリア 157分
監督 パオロ・ソレンティーノ
キャスト
トニ・セルヴィッロ(シルヴィオ・ベルルスコーニ/エンニオ)、エレナ・ソフィア・リッチ(ヴェロニカ・ラリオ)、リッカルド・スカマルチョ(セルジョ・モッラ)、カシア・スムートニアック(キーラ)
内容(あらすじ)
イタリアの元首相シルヴィオ・ベルルスコーニは、数々の失言や女性問題で世間を騒がせてきた。マフィアとの癒着、職権乱用など手段を選ばない野心家の彼は2006年、政敵に負け、首相の座に返り咲くことを目論む。