『グッバイ・ゴダール!』を観た翌日、行ってきましたよ横浜・黄金町まで。
いやー、やられましたね。久々に魂の一部を抜かれた作品です。
Pour moi, les films de Felini et d’autres en noir et blanc sont des films qui me font sentir la lumière et les ombres du soleil le plus fort .
For me, Felini’s movies and other black-and-white movies are movies that make me feel the light and shadow of the sun most strongly .
タイトルになんでも恋を入れるのはどうよ
フェリーニに恋して (In Search of Felini)。
予告編を観たときから、自分はグッバイ・ゴダールよりもこっちの方が好きかなと思っていたのですが、大当たりでした。
シネマ ジャック&ベティはとってもレトロで、こじんまりとした映画館でした。
周辺に風とか水の店が多くて風紀的にはけっこうアレな地域なんですけど。
でもこの映画、邦題が微妙にダメだと思います。
普通に『フェリーニを探して』で良くない?
日本の映画会社はとかくタイトルに「恋」とか入れれば客が増えると思っているようですからね。
なんかこう、邦題って「面白くみえねーんだよ、それじゃ」っていうのが多い。
ついでにこの映画の日本版ポスターも、いかにも日本の若い女子受けを狙って作られたって感じで面白そうに見えないです。
「恋」って入ってて、その字だけピンクで強調しているなんて、スイーツな女の子向けと勘違いして観るのためらう人もいそう。
フェリーニのイメージを忠実に再現した耽美な演出
この映画、のっけから音楽・画面ともに夢の世界に誘い込むような演出で、ラストまで現実離れした展開に釘付けでした。
場面展開に合わせてイタリアの名所が映し出され、観光しているような気分にもなりました。
YouTubeに「実際のイタリアはこんなじゃない」「イタリア人なのに英語喋ってる」とか書かれてましたけど・・・
フェリーニの映画をなぞるようにヒロインが旅をしていくのですが、そこに現れる人々やシチュエーションがフェリーニの映画からオマージュされたものになっていてなんとも幻想的です。好みです。
ローマの休日より有名な甘い生活
フェリーニ作品の映像そのものが映し出されることも多いのですが、その中でも、甘い生活 (La dorce vita) がやっぱり最高だなと思いました。
映画の中で映画を観ると、俳優や画面の美しさが更に際立っていてゾクっとします。
甘い生活。ローマの新聞記者とアメリカ女優の、のんびりとした恋愛ストーリーなんだけれど、全体に良い意味でのイタリア的なゆったりさと、灼熱の太陽がスクリーンにストレートに表現され、時代的にまだ映像などに稚拙な部分が多いのも逆に素朴な感じがして良い。
この豊かな、ゆったりした映画、好きだなぁ~
なんか安心して観れる映画なんですよ、甘い生活。
以前、ローマに旅行に行ける機会があり、トレヴィの泉やスペイン広場で写真を撮ったりジェラート食べたりしたんですが、あの周辺って、露店でこの「甘い生活」の古パンフレットやポスターなどが、わんさか売られているんですよ。
イタリアではアメリカ映画のローマの休日より、甘い生活のほうが有名です。まあ、当たり前ですよね。
今回の映画でも、アニタ・エクバーグを意識したブロンドの女性、マルチェロ・マストロヤンニ(Marcello Mastroianni)をおそらく意識した?男性、仮面舞踏会など、フェリーニの世界をオマージュした、イタリア的な光景が繰り広げられ、甘い生活しかろくに知らない自分でも思わずにやけてしまう演出でした。
モノクロだからこそ太陽が眩しい
アニタ・エクバーグ(Anita Ekberg)演ずるアメリカ女優が飛行機で到着する場面などが特にそうなんですが、白と黒だけにも関わらず、強烈な真夏の太陽を画面から感じとれるのです。
そしてその反対に、陰の部分も非常に際立って感じられます。
白=反射する光は徹底的に白く、黒=陰影の部分は徹底的に黒い。
すべてが均一に見えるカラー映画よりも、モノクロ映画の方が影と光のコントラストがよく感じとれるということは、この映画と、『情婦マノン』(Manon)とか『去年マリエンバートで』(L’Année dernière à Marienbad)などのモノクロ映画からも感じました。
La dolce vitaは甘い生活?甘い人生?
甘い生活も、邦題が色々考えた末にこれになったようですけど、内容をもっと深く、かつ抽象的に表現したら「甘い人生」の方が良くないですか?
それだと甘ったれた人生みたいなニュアンスと勘違いするから「生活」なのかな。
けどそしたら「甘い生活」ってのもだらしない、生活習慣病みたいなのを連想するといえなくもない。
邦題って難しいデスネ。😂
イタリア映画のサントラ
その甘い生活のテーマがこちらです。
ゆったりして華やかな感じがする曲ですね。
イタリア映画の有名なサントラはたくさんあります。
『世界残酷物語』(Mondo Cane)
『太陽はひとりぼっち』(L’Eclisse)
『黄金の七人』(Sette uomini d’oro)
フェリーニの『8 1/2』
あと、オムニバスCDで「永遠の映画音楽 ~名画と名曲の出会い~」というアルバムがあります。
このCDには、甘い生活の他にも、「ローマの休日」(Roman Holiday)や「ウェストサイドストーリー」(West Side Story)のようなアメリカ映画の曲や、以前に取り上げた「日曜はダメよ」(Pote Tin Kyriaki)、「イタリア式離婚協奏曲」(Divorzio all’italiana)、「すてきなドンナ(太陽の下の18才)」(Diciottenni al sole)等イタリア映画のテーマがたくさん入ったムーディーなオムニバスとなっています。
検索してみてください。
そうそう、太陽の下の18才で思い出したんですが、『禁じられた抱擁』(La Noia)でのワンシーン。
イタリアで活躍したフランス人女優カトリーヌ・スパーク(Catherine Spaak)が札束に埋もれて寝てるシーンがカッコよくて好きです。これも検索してみてください(笑)
他にイタリア関連で、『マカロニウエスタン・ベスト』というオムニバスなどもよく聴いていました。
あと、個人的なお気に入りCDがこれ。
イタリアのラウンジミュージックを集めた、なんとも落ち着くコンピレーションです。かなり昔に買ったやつなんですけど。


雑貨屋かなんかで通りすがりにジャケ買いしたマイナーなCDだし、廃盤だけど、一応中古の通販があるみたいですね。
もうコレ1曲目からイタリアンラグジュアリーな雰囲気そのものの選曲でして。
と思っていたらYouTubeにあった!じゃないですか。
ジャケもほぼ同じ…!
でも内容は少し違うみたい。
ソフトロックの人気曲マナマナ(MAH-NA-MAH-NA)も入っています。
個人的にはピアノの技巧がすごいメイプル・リーフ・ラグ(Maple Leaf Rag)が好きになりました。
夜中にこっそり流したいリュクスな一枚です。
フェリーニに恋して In Search of Fellini
2016年 アメリカ 103分
監督 タロン・エクストン
キャスト
クセニア・ソロ(ルーシー)、メアリー・リン・ライスカブ(ケリー)、マリア・ベロ(クレア)
内容(あらすじ)
母クレアに大事に育てられた二十歳のルーシーは、仕事も恋愛もしたことがなく親友もいなかった。ある日クレアが末期がんに侵されていることを知ったルーシーは自立を決意するがなかなか上手くいかない。そんな時、偶然劇場でフェリーニの映画を観たルーシーはすっかり心を奪われ、フェリーニに会うためにイタリアへと旅立つのであった。