帰ってきたヒトラー(ER IST WIEDER DA)
は、2015年ドイツの映画であり、日本では2016年に上映されました。
私も小さい映画館で観たんですけど、ドイツの歴史やヒトラーに詳しくなくても観ているだけでジワジワくる面白さがあると思いました。
ドイツ語タイトルの意味は「彼が帰ってきた」です。
あらすじ〈Er ist wieder da〉
ある日、ナチス・ドイツの総統アドルフ・ヒトラー(オリヴァー・マスッチ)が目を覚ますと、そこは2011年のベルリンであった。
そのことに気付いたヒトラーはショックと疲労でその場に倒れ込み、キオスクの店主に介抱される。
店主はヒトラーの姿を見て、そっくりさんかモノマネ芸人だと思い込み、テレビ局の業界人に紹介する。
テレビ局をクビになったザヴァツキ(ファビアン・ブッシュ)はヒトラーを使ってTV局に復帰しようとする。
やがてバラエティ番組に出たヒトラーは、ブラックジョークと思い込んだ視聴者に大ウケし、社会現象にまでなってしまう。
面白いけど、わ、笑っていいのかな?
筋書きやジョークが日本人から見てもわかりやすく大衆的、深刻なテーマのわりに小難しくなく軽さがあるところがこの映画の面白さです。
YouTubeで拡散され全世界で人気者になり、日本人観光客に取り囲まれ写真撮影に応じるところなど本当に笑ってしまいました。
そういえばポーランドにプーチンのそっくり芸人という人がいてこの映画のように写真撮影に応じるほど人気者だったらしいのですが2022年ロシアのウクライナ侵攻が始まってから街中を歩くことすら怖くて出来なくなってしまったそうです。
メルケル元首相のことを「迫力あるデブ女」と言っているところも、観客の皆さん笑っちゃいけないんだけど笑ってしまうという雰囲気が充満し、際どいブラックジョークが満載でした。
ヒトラーがむしゃくしゃして犬を射殺しちゃうというシーンはちょっと賛否両論になっているかな?
私が日本人だから面白いとか平然と書けるのかも知れません。
ナチスとかヒトラーというのは、ヨーロッパでは最大のタブーと言われていますからね。
日本人にはその感覚には馴染みがないので、以前フランス語学校の授業で「ドイツの有名な政治家」を挙げる問題があり、生徒が「ア~ドルフ、イットラ~…」と答えた瞬間、先生がドン引きして小声で「サイアク」と言ったあとに慌てて「Bismarck!」と叫んでいました。
現代のドイツらしく、テクノっぽいのとかゴシック、パンクな格好をした人物がたくさん登場します。
ヒトラーの秘書になるクレマイヤー(フランツィカ・ウルフ)など、受付嬢とは思えない格好とメイクです。トゲトゲの首輪つけて黒囲みアイメイクとか、ドイツでは仕事場であんな格好が日常的になされてるんですかぁ⁉
風刺全開のコメディ
音楽はエニス・ロトホフ担当とありますが、全体にドイツらしくクラシック音楽です。
この映画のジャンル、日本では風刺・ フィクション・ 政治風刺となっていますが、風刺ではありますが私はコメディだと思いますね。
ドイツって堅いイメージの国だと思ってましたが意外とこういう手の込んだコメディのセンスがあったりするんですね。
ちらっとドイツのお笑い番組が流れてるシーンが映りましたが、お尻を丸出しにして叩いて笑ったり、昭和の低俗な日本のテレビみたいだと思いました。
ザヴァツキがヒトラーをビルの屋上でギリギリ落ちそうな場所で問い詰める場面など、こないだ初めて観た『ベルリン・天使の詩』が頭をよぎります。
私は帰ってきたヒトラーの方を先に観たので、80年代の名作であるベルリン・天使の詩を観たとき、あれ、ひょっとして、アレを意識してるの?とか一瞬脳がバグっちゃいましたw
あと私はトム・ティクヴァ監督作品が好きなので、けっこうドイツ映画には興味がありますね。
こういう、一見堅苦しそうなんだけど風刺が利いていて思わずクスッと笑える作品をもっと観てみたいです。
・・・な~んて、言っていいのかな⁉️( ̄▽ ̄;)
帰ってきたヒトラー ER IST WIEDER DA/LOOK WHO’S BACK
2015年 ドイツ 116分
監督 ダーヴィト・ヴネント
キャスト
オリヴァー・マスッチ(アドルフ・ヒトラー)、ファビアン・ブッシュ(ファビアン・ザヴァツキ)、フランツィスカ・ヴルフ(フランツィスカ・クレマイヤー)
内容(あらすじ)
独裁者アドルフ・ヒトラーが突然現代にタイムスリップしてしまった。物真似芸人やコスプレなどと言われまくるが、クビになったテレビ局への復帰を狙うテレビマンによってスカウトされテレビ出演する。視聴者はリアルな演説を繰り返す彼をヒトラー芸人として面白がるが、戦争体験者である一人の老女が本物のヒトラーであることに気づく。
