料理研究家の山本ゆりさんや服部栄養専門学校の服部幸應先生がコメントをしていたデリシュ!を観に行きました。
“Delicieux” est l’histoire très innovante d’un homme Français qui a ouvert le premier restaurant au monde.
“Delicieux” is the highly innovative story of a French man who opened the world’s first restaurant.
そもそもデリシュってなんや
何を隠そう私もその某学校で少し料理及びワインを習ったことがあるので他人事とは思えず?これは即観なければと思いました。(料理界の東大ではありませんよ、それ以上は言いません)
世界で初めて、フランスにレストランを開いた人の実話を元にしたストーリーです。
宮廷料理人のマンスロンを演じるグレゴリー・ガドゥボワは太った体がシェフを演じるのにピッタリでした。
オフィサー・アンド・スパイなどにも出演していた彼は役作りのためにさらに太ったのかもしれませんが、ほんとフランスの料理人ってああいう体型多いですよね。
18世紀のフランス、パリの近郊なのかなぁ?けっこう田舎に見えるけど、ベルサイユ宮殿ではない宮廷で公爵に料理を振るっていたマンスロンですが彼の自慢作「デリシュ」という料理…というかお菓子みたいな料理にジャガイモを使ったことから貴族の反感を買い、解雇されてしまいます。
デリシュの作り方を見ても、中に入っている食材がトリュフ、ジャガイモ、鴨の脂、チーズとかのわりに生地に砂糖とか卵黄が入っているらしいのでほんとお菓子なのか料理なのかわかんないです。
甘いのかどうか、どんな味なのかも想像つきませんね。

けど、オードブルとか肉料理の付け合わせとして出すことも可能とか書いてあるからやっぱりおつまみ的な料理なんでしょうね。
なんとなく、一個食べただけでお腹いっぱいになりそうな感じのものに見えます。。。
貴族たちの前に並べられるフランス料理が鮮やかで、どこから食べるのか見当もつかないくらい非日常的というか、貴族は本当に贅沢だったんだなぁと思いました。
そしたらベルサイユ宮殿の貴族たちなんてもっと豪華なものを食べていたと思いますが、現代に再現された当時の料理の写真などを見ると肉が堅そうだったりしてそんなに美味しそうじゃなかったりするんですよね。まぁ時代が時代ですから。
フランス革命下で食の革新✖革新✖革新!
当時はジャガイモって、土の中にあったものだから食べると病気になったりして良くないという考えが一般的だったようです。
なんか日本にも一部そういう言い伝えがあったとか聞いたことがあるような気がします。
イモ類や大根を土の中にあったものだからと気持ち悪がって食べたがらない人がいたとか。
フランスではそういったものは豚や貧しい農民が食べるものという通念があったようです。
フォアグラ・キャビアと並ぶ三大珍味であり、今や最高級食材といわれるトリュフもそうです。
人工栽培が難しいため、今でも高級トリュフ探しに豚が使われるのは有名です。
豚のフェロモンとトリュフの匂いが似ているからということなんですが、他にイヌやハエなどの嗅覚を頼っていたこともあるそうです。
当時のフランス貴族はジャガイモなどの現実的に栄養のある食べ物の良さに気づかず、食べ物の価値を宗教混じりのイメージでとらえていたようです。
たとえば空中にいる鳩は神聖な食べ物で、地面にいる牛は少し劣った食べ物、など。
鳥の中でも高い所を飛んでいる雉はルイ14世がよく食べていたように超高級料理だったのは明らかです。
ユニークな考え方ですね~~
今でも日本などと比べてフランス料理にジビエの鳥類が多いのはそういうわけでしょうかね。
そしたら空中を飛ぶ蝿や蝶はどんな扱いだったのか?水中にいる魚は?と色々疑問が浮かびます。。
弟子のルイーズはマンスロンに、それまでにはなかった庶民が気軽に食事をとれる場所としての「レストラン」を開くことを提案します。
なんか天才じゃないですか?当時にその発想。
けどそのルイーズってのがちょっと変わった女性で、なんか屋外の変なとこに変な恰好で唐突に寝そべってたりするんですよね。
だけど彼女の料理にかける情熱は大変なものでした。
なのでマンスロンも当時完全に女人禁制の調理界において厨房にルイーズを入れてしまうというこれまた画期的なこともしてしまいます。
ジャガイモ✖トリュフ✖女性料理人✖外食✖庶民向けという革新のロイヤルストレートフラッシュです。
まぁ後になってわかりますが実はルイーズはある意図を持ってマンスロンに近づいていたんですけどね。
前半のほうでマンスロンが厨房で一人なにやら鴨肉になんか詰めて焼いて…ってコトコト作っているところなんて思わずゴクリ!っと喉がなりそうになりましたし、彼がルイーズの作った卵焼きをフライパンから直接取って食べるところとかも美味しそうって思いました。
「味がない」とか言ってましたけど。
でもこの作品に出てくる料理を家で作ろうと思ったら最低でも成城石井とか行って調達しないと無理ですね。しかも決して安くない。
料理学校のコルドンブルー日本校なんて絶叫するほど、下手すりゃ私立大学の文系学部より学費高かったですし。
で、後半、料理人を己の気の向くまま次々とクビにしていた公爵は結果的に思ってもみない形で恥かいちゃうんですけどね。
最初は変に見えたルイーズって歴史を変えるほどのとんでもない切れ者だし実はすんごい女性だと思います。
超一流企業が争奪戦するレベルなんてもんじゃない人材で、これは絶対生涯寄り添いたい人物です。色んな意味で。(そうやって全部観終わってから見るとポスターもすごい素敵に見えます)
ラスト「三日後にバスティーユが陥落した」ってテロップが出ますよ。
あースッキリした、って感じです。
「レストラン」(restaurant)ってフランス語の語源は「restauer」で、「回復させる」という意味があることは有名です。
庶民がエネルギーを挽回させるために来る場所って感じしますね。
貴族がこれみよがしに贅沢して食べるってのとは違うイメージです。
観る前に思っていたイメージとはちょっと違うところも多かった映画ですが、フランス料理や食の歴史に興味のある人なら一度は観るべき映画だと思います。
デリシュ! Delicieux
2020年 フランス・ベルギー 112分
監督 エリック・ベナール
キャスト
グレゴリー・ガドゥボワ(マンスロン)、イザベル・カレ(ルイーズ)、バンジャマン・ラベルネ(シャンホール公爵)、
内容(あらすじ)
1789年。宮廷料理人のマンスロンは、公爵に出す料理にジャガイモを使用したことから貴族の反感を買い解雇され、息子と共に実家へ戻る。ある日彼のもとに謎の女性ルイーズが弟子にしてほしいと訪ねてくる。彼女の異常な熱意に負けた彼は熱意を取り戻し、一般人のために世界初のレストランを開くこととなる。それは公爵の耳にも届いたが、実はルイーズは公爵に恨みを抱いており、復讐をしようとしていたのだった。

