ムトゥ 踊るマハラジャ 90年代末の日本人を大ウケさせた無類のダンスインド映画

 

 

今では考えられないウケっぷり

この映画は1998年に渋谷のシネマライズで観た記憶があります。

当時の日本でのインド映画ブームの火付け役となった映画であり、物珍しさとダンスシーン、内容のぶっ飛んだ派手派手しさから日本人を夢中にさせました。

今、改めて観てみると特になんてこともなく「どこにでもあるインド映画だなぁ」と思うのですが、リアルタイムで観た時は、演出・俳優の演技に観客がいちいち大ウケしていて、本場インドの映画館はライブ会場のように客が歌ったり拍手したりで始終うるさいらしいですが、日本の映画館がまさかそんな風になるなんて今思うと不思議な状況でした。

たくさんのインド人が突然踊り出すという、ただそれだけで日本人が大笑いしていた気がします。

「ナニコレ~~~~🤣🤣🤣」みたいな。

ムトゥとランガナヤーキが馬車で崖を飛び越えてしまうシーンでは大喜びの拍手喝采が起きたということをハッキリと覚えています。

なんていうかそういう安っぽいんだけど漫画みたいにベタで大胆なことを平然とやってしまう演出が当時の日本では珍しく見えたんじゃないかと思います。

 

 

 

 

後にも先にもない満漢全席感

1998年といえば日本映画なら「リング」とかが有名ですが、他に北野武の「HANA-BI」などわりとシリアスな映画が多く、海外でも「アルマゲドン」や「トゥルーマン・ショー」など真面目な大作映画がヒットしていて前年のタイタニックからの傾向が引き続いていた印象です。

このムトゥ踊るマハラジャも製作費は日本円で36億円くらいでインド映画史上ではそれなりに最大規模なんですが、一見豪華な演出にちょっとちゃちくさい魅力が混じっていました。

新聞・雑誌・テレビ等のマスコミでもとにかくものすごく話題になりました。

評論家が「ヌードになっていないのに演技の節々にエロスを感じさせる」というようなことを書いていました。

「インドの持つ何千年もの性の歴史が、なにも意識しなくてもエロティックさ、セクシーな雰囲気を纏わせるのではないか」みたいに書いてました。

おそらくランガナヤーキがムトゥの爪先を素足で撫でるシーンなどがそんな感じに見えたのかなとその時は思ったのですが、今の時代に観ると別段セクシーにも見えません。

とんでもない美女に見えたランガナヤーキ役のミーナもたしかに美人ですが顔の濃すぎる太めの人という印象も拭えません。(インドは太めが美人なのはわかってますけど)

なんていうか「美女」も「セクシー」もこの頃に比べると世の中に数も種類も増えすぎちゃったんでしょうね。

ちなみに音楽はなんとこの十数年後に大ヒットする「スラムドッグ・ミリオネア」でアカデミー賞を獲得するA・R・ラフマーンが担当しています。

インド映画ではないですが面白かったですねえ、スラムドッグ・ミリオネア。

あのサントラはたしかにインド風味満点でした。

ムトゥ 踊るマハラジャは暴力表現の多い南インド映画(ヒンディー語のボリウッド映画ではなくタミル語の映画)としてはとてもマイルドでヒューマニティに溢れた仕上がりで、全編民族衣装で通すという点でも珍しく、日本を始め国際的にヒットした稀有な作品として、今なおこれを超える作品が出てこない状態です。

この映画の効果で日本ではインドへの旅行者が5倍以上になった上、インド料理屋がものすごく増えたらしいです。

しかし上記の通り色んな意味で凄すぎる映画のため、この作品のヒット以降日本でインドブームが続くことはなかったようです。

うーん、でもインド好きってこの映画がヒットする前からどこにでも一定数いましたし、インドカレー屋も常に繁盛していましたから個人的にはそんな印象はないですね。

それまで思っていたインドと違った「映画大国としてのインド」の一面が観れたという感じで、間違いなく芸術理解のバリエーションを増やした作品だと思います。

 

 


 

 

ムトゥ 踊るマハラジャ   Muthu

 

1995年 インド 166分

 

監督 K・S ・ラヴィクマール

 

キャスト

 

ラジニカーント(ムトゥ)、ミーナ(ランガナーヤキ)、サラット・バーブ(ラージャー)

 

内容(あらすじ)

 

大地主のラージャーに仕える召使いのムトゥは馬車使い、執事、ボディガード等の役目をこなし、絶大な信頼を得ていた。ある日ひょんなことから劇団女優ランガと知り合うが観劇中の態度で怒らせてしまう。ラージャーはランガに一目惚れし求婚を決意するが、後々ランガはムトゥに惚れてしまう。

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