C.R.A.Z.Y ★ ジャン=マルク・ヴァレが音楽で練り上げた毒親・反抗・同性愛・60s !!!

 

 

新宿シネマカリテでリコリスピザを観ようと思ったのですが他にいい映画がけっこうありそうだったので迷った挙げ句に心奪われたクレイジー(C.R.A.Z.Y.)を観ました。

 

C.R.A.Z.Y. est un film qui met en scène une famille de cinq frères et leurs parents qui grandissent dans les conflits et l’oppression, avec la culture et la musique des années 1960.

 

C.R.A.Z.Y. is a film that depicts a family of five brothers and their parents who grow up with conflicts and oppression, with the culture and music of the 1960s.

 

2005年のカナダ映画が日本初公開

始まってびっくり!フランス語でした。

ロックが出てくるストーリーなので英語の映画なのかと思っていました。

昨年亡くなった監督のジャン=マルク・ヴァレはカナダ出身ですがおそらくフランス系なのかな。

名前もフランス人ですものね。

一言で言うと見応えのある映画でした。

全然期待していなかった分、いい意味で期待を裏切る内容でした。

もっと軽くてポップな感じの映画かと思ってたので。

2005年に撮られたものですから、キャストも今はちょっと年取ってるんでしょう。

60年代のカナダ、厳格すぎる父親と心配性の母親の保守的な家庭には五人兄弟がいます。

真面目な長男クリスチャンに逸脱した次男レイモン、スポーツマンの三男アントワーヌ、そしてクリスマス生まれのザックは四男ですがどちらかというと末っ子寄りの性格かな。その下にわりと年の離れた五男イヴァンが生まれました。

で、五人の頭文字を並べるとC.R.A.Z.Yになると。

(四人以上の兄弟の中間子は年齢が長子に近いと長子的になり、年齢が末っ子に近いと末っ子気質になるとよくいわれますね)

 

クレイジー
左から、五男イヴァン、長男クリスチャン、次男レイモン、四男ザック、三男アントワーヌ (こう見るとザックは主演だけあってやっぱり整ってますね)

 

ザックは従姉のブリジットの恋人のポールがとても気になり自らがゲイであることを自覚していきます。

たしかにイケメンでしたね、ポール。

次男レイモンは最初っから一人荒れくれていてザックは彼がとても苦手でしたが、思春期の頃から部屋に女を取っ替え引っ替え連れ込んだり、バイクに女と2人乗りして「ヒューヒュー、また女変えたのかよー」みたいに騒がれたり近所でも有名です。

兄弟の中でも一際ワイルドな格好をしていて誕生パーティー等にも一応参加しますが常に傍らにヒッピーみたいな女がいます。

しかしこの時代、子供でもみんなそこらじゅうで煙草スパスパだもんな・・・。

父親は音楽好きですがシャルル・アズナブールなどの保守的な音楽を好みます。

 

 

なにかというと息子たちに厳しくするのですが、カントリー歌手パッツィー・クラインのクレイジーというレコードをザックが割ったときは「11ドルもするんだぞ!!」と言って相当怒りました。

 

 

 

問題を抱えた一家と主人公の葛藤をきめ細やかな演出で映し出す

「我が家のタブーは2つある。僕とレイモンだ。」とザックは内心呟きます。

外からは普通に見えてもタブーというか秘密のある家庭ってありますよね?

実は親がギャンブル依存だったり引きこもりニートの子供がいたりとか。

機能不全家族ともいうかな。

どこにでもある話といえばそうですが。

まぁこの一家の場合、ザックの同性愛は父親が認めないだけであり、レイモンは外から見てもグレてますけどね。

普通に見えても問題のある家族のストーリー、どこにでもあるように見えて複雑な家庭のストーリーを60年代のカルチャーや音楽を絡めてうまく描いています。

しかも全体にオシャレで美しく描いているのが素晴らしい。

上っ面だけでない深みがあります。

ちょっとシングストリートとかベルベットゴールドマインみたいな雰囲気も感じます。

ザックの部屋や背後に飾られるポスターがデヴィッドボウイとブルース・リーからジョン・レノンになりジョン・ライドンへと変わっていきます。

最初の頃はブルース・リーの真似をして部屋でシュッシュッやってますし。

髪型や服装も変わっていきますね。

 

 

ピンク・フロイドのジャケが描かれた壁面も見ものです。

自分で描いたのかな?インテリア可愛いです。

時代と、音楽と共にザックも家族も変化するのがわかります。

ザックは長男と三男のように勉強や運動で秀でたものもなく、末弟のように愛されムードメーカーでもなく、次男のように反抗することも出来ない自分のことを中途半端な存在だと思っていたのかもしれません。

必死で自分らしさを見出だそうとしていたけど何もかも嫌になったザックはキリストの聖地エルサレムに放浪に出るのですが偶然立ち寄った市場であの割ってしまったクレイジーのレコードを見つけるんですね。

でも、そのレコードは結局また…

 

レイモンはドラッグで死んでしまいますが、普通過干渉の家庭だとぐれたり飛び出したほうが成功する率が高いと思うんですけど・・・ドラッグが蔓延していた時代であったことが致命的だったかもしれません。

ドラッグに溺れなければ更正していたかも。

なぜか死んだり結婚したりするまで実家にいるんですよね、みんな。

父親は暴力はそんなに振るったりしませんがとにかく押し付けが激しく兄弟達の心を重石のように抑えつけますが、レイモンが死んだあとザックとも和解し兄弟を比較しなくなったので、心境の変化があったのかもしれません。

でももしザックが自死していたらどうなっていたのかな?

やはり同じように父親は考えが変わっていたのでしょうか。

色々考えちゃいます。

ザックの幼少期を演じたのは監督の次男でカナダの俳優エミール・ヴァレです。

大人になってからのエミールはなんかで見たことある気がしますね。

みんなどこか既視感のある容貌や雰囲気なのでストーリーにもすんなり入っていける映画です。

 

 

 


 

 

クレイジー   C.R.A.Z.Y.

 

2005年 カナダ・モロッコ 129分

 

監督 ジャン=マルク・ヴァレ

 

キャスト

 

マルク・アンドレ・グランダン(ザック)、ミシェル・コーテ(カーヴァイス)、ダニエレ・プルール(ロリアンヌ)、ピエール=リュック・ブリアン(レイモン)、アレックス・グラヴェル(アントワーヌ)、マキシム・トレンブレー(クリスチャン)、フェリックス・アントワン・ディスパティエ(イヴァン)、エミール・ヴァレ(幼少時のザック)、フランシス・デュシャルム(ポール)、マリループ・ウルフ(ブリジット)

 

内容(あらすじ)

 

音楽好きで厳格な父親カーヴァイスと過保護の母親ロリアンヌの元、ボーリュー家の四男としてクリスマスにザックは生まれた。インテリな長兄とスポーツ万能の三兄、問題児の次兄を見ながら自らのアイデンティティを模索する。

 

 

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