時計じかけのオレンジのクラシック曲にみる心理的コントラスト効果

 

 

映画と音楽の関係について色々考えると、音楽の柔軟性に気づかされます。

つい先日、YouTubeを見ていたらたまたまiPhoneのプライバシーに関するCMが流れました。

そこで流れているクラシックに「ハッ!」としました。

iPhoneを使う動きにキビキビした音楽が非常にマッチしており、プライバシー尊重を促すCMに強く印象付けられていたのです。

それは絶対聴いたことのあるメロディーだったのですが曲名が思い出せずShazamで調べたら、カルメンの闘牛士の歌でした。

あの迫力のあるオペラの名曲が現代の神器であるスマートフォンのCMにしっかりとはまっているというのが不思議でもあり、面白いと思いました。

 

時計じかけのオレンジとクラシック

私がその手の感覚を初めてハッキリと意識したのは 時計じかけのオレンジ を観た時からです。

ベートーベンやロッシーニなどのクラシックの曲をバックに激しいバイオレンスが繰り広げられることで有名な映画ですが、そもそも主人公のアレックスがクラシックを聴くと凶暴化する性格という設定なんですよね。

クラシックを聴くと落ち着くのが普通なのに凶暴化するとはなんというディストピアなのかと思わせる映画です。

ジーン・ケリーのミュージカルで知られる「雨に唄えば」も、この映画の中で皮肉っぽい効果を出しています。

ちなみに時計じかけのオレンジはインテリアやファッションも70年代スタイルの典型でどこもかしこも抜かりなく凝っていて非日常的でシャレオツなので、暴力映画の感が薄れています。

 

対比させる演出効果

私はこの映画のクラシック効果には、色彩学でいうコンプレックス配色に似た効果を感じます。

コンプレックス配色とは、本来明るい方の色を暗く青紫寄り、暗い方の色を明るく黄色寄りで組み合わせる方法なのですが、この組み合わせは、一見ミスマッチながらも、自然界に存在するナチュラル配色よりも都会的、人工的になり鮮烈な印象を与えるといわれています。

悲しい場面、生々しい場面でアップテンポの曲を流し、楽しい、嬉しい場面で切ない曲を流す・・・普通に考えれば逆なのですが、そうすることで正反対の感情をより強調させる効果が生まれます。・・・・よね?

スイカに塩みたいな効果とも言えるかな。

クラシック音楽はとりわけ堅苦しい、近寄りがたいと勝手に敬遠されるジャンルでもあります。

でも、こういう使い方をみると、きちんと正装してコンサートホールで聴く・・・だけじゃないんですよねぇ。

ここが映画サントラの面白さで、水のように姿形を変え、色彩のように自由自在にシチュエーションを彩る摩訶不思議さを感じます。

ファッションや大道具、小道具などの背景以上に映画全体の印象を左右するのが音楽なのではないかと思います。

総合芸術である映画の中では、音楽と役者の演技による感情の複雑さが絡み合い、映像と音楽の親和性、その他様々な要素が共鳴し合っています。

そもそも明るい曲が本当に明るいと誰が決めた?

悲しいメロディーが本当に悲しいとどこで証明できる?

という問題です。

悲しみの裏には喜びがあり、喜びの裏には悲しみがある。

な~んて、実生活でもこの効果を利用すれば、相反する感情を複雑に引き出し、現実をドラマティックに演出して楽しめるんじゃないか?なんて思います。⤴⤴

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