最初からゲームチックな映画だった
00年代が何年間を表すのか調べてみたら、「2000年から2009年までの10年間」となっていました。
今回紹介する スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団 (Scott Pilgrim vs. the World)
は2010年の映画なので、ちょっとずれるかも知れないんですけど、雰囲気的には00年代、というより90年代半ばの香りがプンプンする映画です。
この映画はゲームにもなっており、登場人物のキャラ設定や見た目がいかにもゲームチックです。
“SCOTT PILGRIM VS. THE WORLD”est un film des années 2000, mais c’est un film à la mode très semblable à un jeu, de classe B avec un look des années 90.
“SCOTT PILGRIM VS. THE WORLD” is a movie from the 2000s, but it’s a very game-like, B-class fashionable movie with a 90s look.
意図的な学芸会的スクリプト?
売れないバンドをやっている22歳のスコットが、突然現れたピンクの髪の女性に一方的に運命を感じ、出来たばかりの彼女を捨てて追いかけまくるという単純なストーリーですが、実はそのピンク髪の元カレ達はとんでもない強者・キワモノ揃いだったというものです。
まず思ったのが主演の2人以外の演技があまり上手くなくて、学芸会みたいな素人っぽさがあるということです。
初めからB級っぽさを狙って書いた筋書き、そしてそれを演じています感がいかにも滲み出ているという感じで真剣な雰囲気がなく、そこにやはりB級・カルト映画特有のわざとズラしたダラダラ感、モタモタ感を感じました。
いきなり風変わりなラモーナが現れて一瞬で惚れてしまう意味不明な経緯と、元カレ7人全員が邪悪というぶっ飛びすぎてる設定など論理性の欠如も目立ちます。
そういう素人くさい映画が嫌いなクオリティの高い映画を好む人は、なんだこの付け焼き刃のチャチな映画はと思うのかも知れません。
が、この映画はあえてクオリティの低いオシャレな映画を狙って撮って成功したパターンだと思います。
謎の既視感
マイケル・セラはベック(ハンセン)に似てる感じがするし、メアリー・エリザベス・ウィンステッドはこれまた最近も色んな映画で観たことある気がします。
キーラン・カルキンは目鼻立ちが兄のマコーレー・カルキンそっくりですね。
なんかみんなどっかで見たことあるような謎の既視感があるんですよ。
衣装センスはかなり凝っていて、音楽+ファッションのオシャレさで観せていくカルト映画の王道レールに則っているという印象です。
スコットがスマパンのゼロTを着ているのが印象的でした。ちょっとピチピチなとこがやはり90年代ぽい。
どこにも書かれてはいませんが設定を90年代ど真ん中にしてるんじゃないか?と思うほどです。
そして、スコットの元カノが嫉妬して悪口を言ったり対抗して髪を青くするところなどは若者の恋愛にありがちな状況を上手く描写していると思いました。
アメリカや日本の有名アーティストが入り乱れるサントラ
音楽は、レディオヘッドなどのプロデューサーで知られるイギリスの ナイジェル・ゴッドリッチ (Nigel Godrich) が監督しており、サントラには、スコットの組んでいたバンド “セックス・ボブオム” (Sex Bob-omb) の曲を中心としてロックな曲が入っていますが、映画の中では色んなテイストの曲が流れています。
そしてやはり90年代のカラーが蘇るようなミュージシャンのラインナップです。
ピンク髪のラモーナに魂を奪われた曲 “I Heard Ramona Sing”
フランク・ブラック / ブラック・フランシス (Black Francis) は、アメリカのバンド・ピクシーズのフロントマンとして有名です。
ロサンゼルスのオルタナティブロックバンド、ビーチウッド・スパークス (Beachwood Sparks) の バイ・ユア・サイド (By Your Side)
ニューヨーク出身のパワーポップバンド、 スペースキャデット (space cadette) の “S・A・D”
アメリカのレコードプロデューサー、ダン・ザ・オートメイター (Dan the Automator) こと ダニエル・M・ナカムラ の
“Slick”(Patel’s Song)
T-REX “ティーンエイジドリーム”(Teenage Dream)
映画のイメージにぴったりの曲です。
1993年あたりのブリットポップシーンで活躍した ザ・ブルートーンズ (The Bluetones) の スリージー・ベッド・トラック(Sleazy Bed Track)
ダンス・エレクトロニックアーティスト、ワゾウスキー (_ wazowski _) による “RAMONA FLOWERS” (Goodbye)
Preach Ankobia Feat. Prince Akeem & Franco Dinero の “Money In The Bag”
なぜかイントロ部分にユニバーサルピクチャーズのテーマがサンプリングされています…
ナイジェル・ゴッドリッチによる、スコットのバンドが演奏している設定の曲です。
スコットの元カノ、エンヴィーがボーカルを務めるバンドの曲を担当しているのはカナダのロックバンド、メトリック(Metric)
トッド・イングラムとスコットのベースギター対決で流れるのは、元ジェリーフィッシュの ジェイソン・フォークナー(Jason Falkner) とアメリカのプロデューサーで元メディスンの ジャスティン・メルダル・ジョンセン (Justin Meldal-Johnsen) とナイジェル・ゴッドによる “Boss Battle”
カタヤナギ兄弟との対決シーンでは、ベック(Beck) とコーネリアス (Cornelius) による “Katayanagi Twins vs. Sex Bob-Omb”
斉藤慶太・祥太という日本人俳優の出演シーンのせいか?日本人アーティストのコーネリアスが参加していますね。
そしてベックの ラモーナ (Ramona)
ベックらしいアコースティックな持ち味の曲です。
エンディングでは、ロサンゼルスのキーボード奏者・電子音楽家の ブライアン・リバートン (Brian LeBarton) の “スレッショウルド 8ビット” (Threshold 8-bit)
このゲームっぽい音楽が映画の世界観を実によく表現しています。
スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団
SCOTT PILGRIM VS. THE WORLD
2010年 アメリカ・イギリス・カナダ・日本 112分
監督 エドガー・ライト
キャスト
マイケル・セラ(スコット・ピルグリム)、メアリー・エリザベス・ウィンステッド(ラモーナ・フラワーズ)、キーラン・カルキン(ウォレス・ウェルズ)、クリス・エヴァンス(ルーカス・リー)、ブランドン・ラウス(トッド・イングラム)、ギデオン・グレイヴズ(ジェイソン・シュワルツマン)
内容(あらすじ)
売れないバンドのベーシスト、スコット・ピルグリムは、ゲームに明け暮れたり女子高生と付き合ったりして日々を過ごしていたが、ある日ニューヨークからやってきたミステリアスな女性ラモーナにひと目ぼれしてしまう。しかし、ラモーナと付き合うためには7人もの邪悪な元カレを倒さなければならないということを知る。